ナノトライボロジー研究センター設置の目的

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1966年の英国Jost報告は摩擦による経済損失はGNPの1 %に達すると報告している。その後の見積もりでも摩擦現象を適切に管理することで1 %以上の経済効果がえられると考えるのが多数意見となっている。現在必要とする省エネルギー技術においても摩擦の制御が重要な役割を担う。

一方,近年の表面科学と科学技術の発展によって,摩擦・凝着の発現機構を原子・分子レベルからの解明を目指す「ナノトライボロジー」と呼ばれる研究分野が誕生した。この新しい研究分野は摩擦研究にこれまでの枠組みを超えた研究者間の協力を必要とし,またそれにより摩擦研究に新しい方向性も与えている。しかしながら我が国の大学には「ナノトライボロジー」を直接冠した研究組織が存在しない。本学にナノトライボロジーおよびその関連分野の研究者が多く在籍する特長を踏まえて,本学がナノトライボロジーおよびその関連分野の研究・教育拠点となることを目指す。

期待される研究成果等

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研究ステーションの構成員は既に「ナノトライボロジー」およびその関連分野で研究グループを組織し,研究・教育活動を行ってきた。しかしながら,これらの活動は大学等の組織に拠点を置くものでなく,その活動に制約を受けるものであった。本学に研究ステーションを設置することにより,研究・教育活動を長期的・戦略的に継続して進めることが可能となる。期待される具体的な成果として,(1) 本研究ステーションが研究会,講演会,若手の学校などを開催することにより,本学を中心としたナノトライボロジー研究・教育のネットワークが形成できること,(2) 地震等の地球科学,物性科学の関連分野を含むいわゆる『摩擦の科学』のネットワークが形成できること,(3) (1)(2)に基づき本学の大型予算の獲得が目指せること,を挙げることができる。